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2022/08/31歯の定期検診って必要なの?
なぜ歯医者に定期的に通う必要があるのか?
こんにちは岐阜市にあるあかなべ歯科です。
突然歯が痛み、歯医者行くことはあると思います。治療を開始し通院後治療が終わっても、3ヶ月毎に定期検診に来てくださいと言われますよね?
本当に必要なの?定期検診って何?などと、思われている方も多くいると思います。
では、なぜ3ヶ月に1回の定期検診が必要なのか、一緒に学んでいきましょう。
- 日本人の定期検診率は?
- そもそも定期検診って何するの?
- 3ヶ月に1回の理由は?
- 定期検診に行かないとどうなるの?
- まとめ
1.日本の歯科定期検診率は?
日本で歯の定期検診を実施している方は、33%程度(15歳〜79歳の男女10,000人に聞く、「歯科医療に関する生活者調査」Part2 より 2020年11月5日 公益社団法人日本歯科医師会 公表)と言われています。
これは他の先進国と比べても驚くほど低い数字となっています。
世界で最も予防が進んでいるスウェーデンでは定期検診率大人が80%以上、子供(20歳未満)はなんと100%!スウェーデンなどの寒い地方では各家庭で硬い保存食を食べる傾向があり、歯が悪くなってしまうと生命の危機に直結することもあるので、歯を大事にする習慣が昔から根付いているそうです。また、成人するまでは矯正治療を含めた医療費の自己負担がなく、定期検診の習慣が身に付く事で、成人後の歯やお口の病気の発症や重症化を予防できるというエビデンスに基づいた国の政策や保険制度という背景もあります。
他にも、アメリカでは日本のような保険制度がなく、全額自費または自動車の任意保険のような民間保険で対応しているため歯科治療費が高く、定期検診に通っていないと治療費の支払額が高くなる保険会社もあることなどから、虫歯や歯周病になる前に予防をする人が多いと言われています。
それぞれ国での保険制度や治療費などの環境が、定期検診率に繋がっている事は昔から知られていますが、それにしても日本人の定期検診率は低い気がします。
2.そもそも定期検診って何するの?
定期検診の目的は虫歯と歯周病の予防です。なので主に歯周病検査や歯のクリーニング、歯石除去
フッ素塗布などを行います。ご自宅での歯磨きがしっかりできているか磨き残しを確認し、ブラッシング指導や虫歯と歯周病のチェックのためレントゲン撮影を行う事もあります。また、お子さまの場合は歯の本数や生え変わりの時期や位置に異常がないかもみていきます。
3.3ヶ月に1回の理由は?
歯周病の治療を受けた後にご自身でしっかりとしたケアを行なっていたとしても、歯周ポケット内の歯周病菌は3ヶ月で元々の値まで戻ってしまうと論文データが出ており、3ヶ月に一度歯科医院でプロのケアを行うことで治療で得られた健康的な状態を維持することができるからです。健康的な口腔内を常に維持する事で歯周病の再発や新たな発症を防止することが可能となります。
ご自身では上手に磨けていると思われている方でも、平均20%程度は磨き残しがあるという論文データがあります。また、100%磨こうとすると約1時間かかるという説もあります。ただし、100%磨けていなくても、磨き残しや歯茎からの出血が20%程度以下であれば、定期検診(プロによるケア)により、虫歯や歯周病の予防は可能であることは、論文による裏付けがあります。
また、世界保健機関(WHO)が推奨するMI(ミニマルインターベンション)という考えが世界的な流れで、日本では小さく削って小さく詰める部分のみが注目されていますが、小さな虫歯に関しては治療ではなく管理する時代になっています。
当院では、虫歯のチェックを肉眼だけではなく、お口の中の写真・レントゲン写真・口腔内スキャナの虫歯検出機能(iTero Element 5D プラス NIRI(近赤外光画像))により、虫歯の進行状態を確認し、削る必要性があるのか、フッ素塗布を含めた歯を削らずに再石灰化を促す治療と定期健診で様子をみても良いのかを、判断してます。完璧な検査はこの世の中に存在しませんが、このように複数の検査方法を組み合わせることにより、より正確に検査・診断を下すことができるのです。
下の写真は実際のNIRIの画像です。レントゲン写真では健康な歯は白く、虫歯は黒く写りますが、NIRIの画像では反対に健康な歯は黒く透けて見え、歯と歯の間(隣接面)の虫歯は下の写真のようにチョークのように白っぽく見えます。
最適なタイミングで予防や治療を行うことにより、何回も治療を繰り返したり、歯を余分に削ったりするリスクを減らし、将来的にご自身の歯を残せる確率が格段に上がります。
※患者さんのお口の中の状態やご希望によっては、2ヶ月に1回だったり4ヶ月に1回など、3ヶ月に1回ではないこともあります。
4.定期検診に行かないとどうなるの?
虫歯や歯周病になってから治療のみで定期検診に行かなかった場合、結論から言うと将来的にご自身の歯を残せる確率が格段に下がります。虫歯は痛みが出てから気づくケースが多いと思いますが、残念なんながら痛みが出る段階ではかなり進行しているケースが多く、最悪歯を抜く治療が必要な場合もあります。また、歯周病で腫れている場合は、すでに歯を抜かなければならないステージまで進行していることも多く、進行度合いにもよりますが治療が複雑化してしまい治療費や通院回数が増え、患者さんの負担が大きくなる場合もあります。
5.まとめ
定期検診を行う事で将来的に自分の歯を残せる可能性が格段に上がることが分かりましたね。大人の歯は一度失うと二度と生えてきません。もちろんそれを補う治療もありますが、ご自身の天然の歯に勝るものはありません。歯の定期検診は正直めんどくさいと思われている方が多いと思います。ご自身でしっかりケアしているから大丈夫と思われている方もいるかと思います。今回歯の予防を行う重要性を少しお話しましたが、まずは定期検診という歯の予防に少しでも興味を持って頂ければ嬉しいです。