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2023/04/19食いしばりについて

岐阜市にある、あかなべ歯科です。

今回は食いしばり(噛み締め)についてご紹介していきたいと思います。食いしばりは顎だけではなく体全体へ悪影響を及ぼす危険があります。詳しく見ていきましょう。

食いしばりとは?

食いしばりとは、歯を強く噛みしめたまま口を閉じた状態のことをさし、ストレスや不安によって発生することが多い症状のことです。日常的には気づかないことが多いため、多くの人が患っているとされます。特に寝ている時に無意識に起こることが多く、睡眠中の食いしばりは食事をしている時の3倍以上の力がかかっているとも言われています。起床時に頭痛や口の疲れた感じがある場合は食いしばりが原因である可能性があります。長期にわたる食いしばりは、歯や顎の関節などにダメージを与え、歯の欠損や噛み合わせの乱れを引き起こすことがあります。

■食いしばりで引き起こされる症状

冒頭でも述べた通り顎や歯以外にも体全体に症状が現れます。自覚症状がない場合もあるため下記の症状にあてはまる方は食いしばりを疑った方がいいかも知れません。

①歯や口周りに影響

食いしばりを行うことで歯に強い圧力が集中したときに歯が破損する可能性があります。また、日常的に強い圧力をかけることで知覚過敏や、歯肉が下がる、歯並びが悪くなったり、顎関節症や歯に痛みが出たりします。

②頭痛

食いしばることで口周りの筋肉が動きます。その中でも側頭筋(そくとうきん)という筋肉が強く作用します。その影響で側頭筋が疲労し、頭痛を引き起こすと考えられています。

③肩こり

顎の下にある舌骨(ぜっこつ)という骨は筋肉に支えられている宙に浮いた骨です。

肩こりに関与している肩甲舌骨筋(けんこうぜっこつきん)という筋肉は肩甲骨とくっついており、食いしばりによって舌骨は上に引っ張られ肩甲舌骨筋も同時に動くため、疲労して肩こりが起こります。

④顎の関節痛

上顎と下顎の間には関節円板(かんせつえんばん)という軟骨を挟んでいます。

この関節円板があることで顎の動きがスムースに行われていますが、食いしばりによって関節円板に大きく負担をかけてしまい本来の位置から徐々にずれていきます。結果、上顎と下顎の骨が直接接触することで顎が痛くなり、口が開けにくくなったり、「カックン」っと音が鳴ったりします。

⑤耳鳴り、めまい

顎の関節痛の延長で起こる症状です。上顎と下顎が直接接触する部分の上顎面には関節窩(かんせつか)があります。関節窩は内耳神経という耳につかさどる神経が走っており、そこに負担がかかることで耳鳴りやめまいといった症状が起こります。

⑥目の疲れ

こちらも耳鳴りやめまいの原因と同じで、内耳神経に負担をかけることでその他の様々な神経にも影響を及ぼします。神経の支配関係は複雑で説明しきれないので省きますが、その中に目に関係する神経もあり、目が疲れやすくなります。

⑦腰痛

顎の関節痛で話した関節円板のずれが起こると併せて顎の位置もずれていきます。

顎の位置がずれることで舌骨がずれ、舌骨がずれることで舌骨に繋がっている筋肉がずれ、さらに頭の位置ずれ、背骨の位置ずれ、最終的には腰のずれへとつながり腰痛となります。

※その他にも日中いつも眠い・寝起きが辛いなど睡眠に悪影響が出る場合もあります。

■食いしばりの原因

食いしばりの原因は様々あると言われています。ストレス、歯並び噛みや合わせの悪さから来るもの、疲れ、神経質な性格、不安障害、睡眠障害、癖など多岐にわたります。その中でも主な原因はストレスや緊張によるものです。ストレスがあると、交換神経が優位に働き、口周りの筋肉が緊張状態になります。その結果、食いしばり状態になりやすい傾向があります。

■食いしばりを防ぐ方法

食いしばりを防ぐ方法はいくつかあり、具体的な方法を3つ紹介していきます。

①体の緊張をほぐすストレッチ

食いしばりは無意識に筋肉が緊張することが原因のため、緊張をほぐすストレッチをすれば改善することがあります。

首や肩、腰の筋肉をほぐすストレッチを行うと良いでしょう。

また、腹式呼吸などの気持ちを落ち着かせる自律訓練法を試してみるのもいいかも知れません。

②上下の歯を接触させないよう意識する

人が1日に上下の歯が接触している時間は20分程度と言われています。上下の歯を長時間や持続的に接触させる癖のことを、Tooth Contacting Habit・歯列接触癖と言い、TCHと略称で呼ばれることが多いです。

食いしばりがある人は長時間上下の歯が接触状態にある傾向があり、その分、歯、顎、体全体にダメージを与えます。

唇を閉じたときに上下の歯が接触しないよう日々意識できるようになれば体への負担も軽減できます。

③スプリントやマウスピースの着用

自身の歯型に合わせて作られたスプリントやマウスピースを着用して食いしばりを抑える方法です。主にスプリントは就寝中に着用するもので、昼間でも装着できる食いしばり治療はマウスピースになります。

両方とも歯科医院で製作を行っています。

■食いしばりにマウスピースは逆効果と聞いたことがある?

ネットなどで食いしばりにマウスピースは逆効果という情報が出ているようです。しかしながら可能性があるという研究結果は出ているものの詳しくはまだ分かっていません。柔らかいマウスピースをつけて眠ると逆に食いしばる力が強くなるという報告はいくつかあります。また、歯を覆う範囲が大きくなることで唾液の循環が低下し、虫歯のリスクが高まる可能性もあります。

食いしばり治療でマウスピースを使用する場合は、かかりつけの歯医者にて都度しっかり歯科医師に状況判断してもらい、患者さん一人ひとりに合った方法を選択するのが良いと思います。

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