治療・講演実績
2023/05/31癒合歯(ゆごうし)について
岐阜市にある、あかなべ歯科です。
今回は癒合歯について紹介していきます。みなさん癒合歯って聞いたことあるでしょうか?近年、お子様の治療を行なっているとちょくちょく癒合歯の方を見かけます。あまり知らない方も多いので詳しく紹介していきます。
■癒合歯ってなに?
癒合歯とは別々に生えてくるはずの2本の歯が、くっ付いて1本の歯として生えてくることを言います。永久歯、乳歯共に見られますが、永久歯よりも乳歯に発生することが多く、複数箇所できる場合もあります。
また、癒合歯を1本の歯と数える場合、全体の歯の本数では、通常より少なくなります。
■癒合歯と癒着歯の違いは?
癒合歯と癒着歯の違いは主に歯の表層、セメント質だけくっ付いているか表層だけでなく、象歯質・歯髄までくっ付いているかの違いです。
・癒合歯は表層のセメント質含め、象歯質・歯髄までくっ付いた状態
・癒着歯は表層のセメント質のみくっついた状態
■癒合歯になる原因
結論から言うと、実はいまだにはっきりわかっていません。
胎児期の歯胚が作られる時に隣の歯胚とくっ付いてしまうことが原因だと言われ、一説によると母体の遺伝や健康状態が原因ではないかとの見解もあります。ただし、特にそういった要因がない場合でも癒合歯になる場合が確認されているため、実際には明確な答えは分かっていません。
■放置することで起こるトラブル
癒合歯になったからと言って、歯そのものにトラブルが起こることはありません。しかしながら、次のようなトラブルが起こる可能性を高めてしまします。
・虫歯のリスク
癒合歯は歯と歯が結合している部分が凹んで溝になっているため、通常の歯に比べて汚れやプラークが溜まりやすく、裏側は特に見えない上に溝が深くなる傾向があるため、虫歯へのリスクが高まります。
・永久歯への生え変わり時期にトラブルの可能性
永久歯への生え変わりは通常、永久歯が上がってくる過程で乳歯の歯根が吸収され、乳歯が徐々に揺れ、自然と抜け落ちて永久歯へと生え変わります。しかし、癒合歯の場合は2本がくっ付いた状態なので、通常の歯より上手く吸収されず、自然に抜け落ちない場合があります。場合によっては抜歯が必要になるケースもあります。
・永久歯の本数に影響
永久歯は生えている乳歯の存在を確認してから形成されます。そのため、癒合歯のように結合した歯の場合は乳歯1本とみなされ、永久歯はその乳歯に対して1本しか形成されず通常よりも1本永久歯が減ってしまう可能性があります。癒合歯が2本あれば、2本減ることになります。
必ずしもそうなるわけではないのですが、確率は50%程度との研究発表がされています。
・歯並びが悪くなる
癒合歯は、歯と歯がくっ付いているとは言え、歯2本分の大きさがあるわけではありません。癒合歯の乳歯が抜けた際に、永久歯が2本生えてきた場合、生えるスペースが狭く圧迫され、上手く歯が並ばない可能性があります。逆に、永久歯が1本の場合はキレイに並ぶ可能性もあります。
■治療方法について
治療は、特に切断したりといったことはしません。
行う処置としては結合部分が凹んで汚れが付着しやすいため、定期的にフッ素塗布をおこなったり、溝が深い場合はシーラントという溝を埋める処置を行い、虫歯予防をしていきます。
しかし、上記トラブルでも述べた通り、生え変わる永久歯の本数や歯並びに影響してくる可能性があるため、ある程度の年齢になれば生え変わりに備えてレントゲン撮影など、歯科医師の検診を受けることをおすすめします。